F organicsが目指す「自分らしいウェルネスな生活」のため、国内外で活躍する女性たちに日々の生活や美しさを保つための考えをインタビューする「Indi-visual wellness」。
今回は、北欧を代表するインテリアブランド「Artek(アルテック)」の本店で働く日下部麻希さんをフィンランドのヘルシンキに訪ねました。フィンランドが誇る建築家、アルヴァ・アアルトらによって創設されたアルテックはヘルシンキのメインストリートにショップを構えます。店内には同社の家具を中心に、世界各地から集められた住まいのアイテムが揃います。私たちがショップを訪れると日下部さんは2階のティールームでお茶を出してくれました。これは特別なもてなしではなく、毎週土曜には訪れるお客さまにお茶を出しているとか。どこか日本のような雰囲気をもつフィンランドで、日下部さんはどんな日々を過ごしているのでしょうか。
なぜヘルシンキへの移住を決めたのでしょうか。
漠然とですが、昔からフィンランドで暮らしてみたいと考えていたんです。そうしたら夫がフィンランドのデザイン事務所で働くことを決め、私もいっしょに移住を決めました。私自身ももともと大学でインテリアを学んでいて、デザイナーの川上元美さん(家具やプロダクト、空間までを手掛ける日本を代表するデザイナー)の事務所で働いていたんです。私はこちらに移り住んでから初めてフィンランドの人々と触れ合うようになったのですが、思い描いていたイメージと変わることなくすっと馴染むことができました。フィンランド人はけしてオープンな性格ではないけれど、親しくなるととても親密になって距離がぐっと近くなります。よく日本人と似ていると言われるのは、そういう気質が大きいのかなと思っています。同じ北欧の首都でも、デンマークのコペンハーゲンやスウェーデンのストックホルムは都会ですよね。ヘルシンキは街がほどよい大きさで、人々のコミュニティのサイズもちょうど良いように感じています。いまも変わらず居心地が良く、この街でずっと暮らしていきたいと思っています。
では健康的な生活を送れているんですね。
ストレスフリーといっても、肩こりや頭痛に悩まされることはあります(笑)。なので普段からヨガや運動はしているし、予防医学にも気を使っています。というのもフィンランドは医療費が高いんです。ただ健康を意識するといっても、この街には日本でよく目にする健康グッズのようなものはありません。フィンランド人は自然に触れることで心身をケアしようという考えがあるように思います。国土の6割以上が森で、この国では週末に森に行くことが特別なことではありません。私も森のほかに海沿いを散歩したり、島を歩いて一周したり……水も空気も澄んでいて、森にあるものはみなの共有財産なんです。散歩をしながら、木になった実やブルーベリー、きのこなどを詰むこともあります。ただし、コスメはやっぱり日本製がいいですね。フィンランドの化粧品では物足りなく、アジア人好みのしっとりとするセラムや化粧水、クリームなどを使っています。
ストレスを感じないということに驚きを感じています。なにか秘訣のようなものはあるのでしょうか。
そうですね……。たしかにフィンランド人はストレスを溜めない方法を知っているように思います。私は日本から離れて、そうした暮らしを送れることを知りましたが、いまも日本で暮らすフィンランド人はそれを実践して暮らしているように見えます。だから仮に私が日本に戻っても、ストレスのない暮らしはできるのかもしれません。上手く言えないけれど、なによりがんばらないことがストレスフリーの秘訣かなと思っています。そしてフィンランドは平等な国で、さまざまな側面で性別で分けられることがありません。職種によっては性別の偏りもあるかもしれませんが、私のまわりの女性たちはみな輝いています。自分の意思をもって、自分の時間を過ごすことが大切なのかもしれませんね。
日本ではストレスという言葉が当たり前ですが、まさにストレスフリーなフィンランドの暮らしにとても関心を持ちました。私たちも環境は違えど、ストレスを溜めないように意識して予防することや、自分の意思を持って生活するスタンスは、ぜひ見習っていきたいです。