Indi-visual wellness あなた自身がデザインするウェルネスライフを

INTERVIEW Vol.6 星 佐和子さん Sawako Hoshi HELSINKI, FINLAND

F organicsが目指す「自分らしいウェルネスな生活」のため、国内外で活躍する女性たちに日々の生活や美しさを保つための考えをインタビューする「Indi-visual wellness」。今回は、フィンランドのヘルシンキでフリーランスのテキスタイルデザイナーとして活動する星佐和子さんにお話を聞きました。自然の美しさ、記憶に宿る風景を写し取ったテキスタイルデザインは、フィンランドの「Marimekko(マリメッコ)」「Samuji(サムイ)」そして日本のメーカーなどに提供され、私たちの日々を美しく彩るプロダクトになっています。テキスタイルデザイナーを志したきっかけから、その創作についてお話を聞きました。

フィンランドで暮らすようになった経緯を教えてください。 私は東京生まれで、武蔵野美術大学でテキスタイルを学びました。幼少期にイギリスで過ごした体験もあり、卒業後はもう一度海外で暮らしたいと考えるようになりました。そしてテキスタイル・デザインの本場であるフィンランドで学びたいと、ヘルシンキにあるアアルト大学の大学院へ進学することを決めたんです。当時は映画「かもめ食堂」も公開されておらず、後の北欧ブームよりも前だったこともあって、フィンランドの情報があまりなかったんです。それもあって素直に豊かな自然、そしてホームステイ先を始め親切な人々との出会いに驚くことができました。

大学院ではどのようなことを学ばれたのですか。

日本ではまず手でテキスタイルにアプローチする技術を教えられました。しかしフィンランドではもっと工業的な作り方を学んだんです。というのもアアルト大学はデザイナーを育てる教育であって、制作は工場や工房で行うものとしっかり分けて考えています。授業もディスカッションやプレゼンテーション、生産計画などを学ぶことで、デザインをどう見せていくか、どのように商品化するか、売り込んでいくかといった、デザイナーが社会に出て実践すべきことをしっかり学べるカリキュラムだったんです。日本とフィンランドの両方で学んでよかったと思っていますが、手で作らないことに衝撃も受けました。そうしたなかで大きな出会いがありました。

それはどのようなものだったのですか。

私がフィンランドを選んだ理由のひとつに、テキスタイルメーカーのマリメッコ、そしてマリメッコでテキスタイルデザイナーとして活躍された石本藤雄さんの存在が大きくありました。私はアアルト大学でその石本さんに指導を受け、ともに制作する機会を得ることができたんです。雲の上の存在のように思っていたので、とてもうれしかったですね。石本さんからは、色の選び方やデザインの構成、完成までのプロセス、そしてテキスタイルへの姿勢を間近で学ぶことができ、それがいまも私の作品づくりに生きています。そして石本さんの推薦で、在学中にマリメッコで制作することもできました。卒業制作と並行しての作業だったので大変ではありましたが、かけがえのない体験です。

フィンランドでの暮らしで大きな変化はありましたか。

私は東京で生まれ育ったので、自然にあまり馴染みがなかったんです。それがフィンランドではすぐ近くに豊かな森や湖があり、その環境にはとても驚きました。といっても、その風景はダイナミックなものではなく、さり気なく素朴で日常に馴染むものです。森も壮大ではなく、生活に寄り添っているように感じます。子どもが生まれてから、よく森を散歩するようになりました。そして外の風景や自然を気にするようになって、そこに美しい色があふれていることを知りました。日々光が違うから、空の青はもちろん、緑の色も毎日違う表情を見せます。それが作品に影響をあたえてくれます。

どのように作品制作をされていますか。

私はクレヨンを塗り重ねて層を作り、その上を先の細いもので削って点や線を描いていくスクラッチの手法で制作をしています。そこにいまお話したような景色やイメージを重ねていきます。テキスタイルの面白さは原画のサイズよりも大きくなったりすることで、思いもよらない変化が生まれることにあるように思います。私は抽象的なものが好きで、グラフィカルな柄は不得意です(笑)。具象と抽象のあいだの「風景」を描くことで、どこか見る人と思いをともにできたらいいなと考えています。完成するまで自分でもわからないところもテキスタイルの面白さですね。

フィンランドといえばサウナですが、健康のために気遣うことはありますか。

いまは育児をしながら制作をしているので子どもに合わせた生活になっていて、なかなか健康や美容に気を使える状態ではないのですが……。食事を作り、お風呂に入れて寝かし付けて、母親業のあいだに制作作業をします。でも子どもを連れて森へ散歩に行くことが気持ち良く、知らずしらずのうちにバランスが取れているのかもしれません。私の自宅は1980年代に建てられた古いもので、小さな浴室に古いサウナがついています。最近はなかなか入れないけれど、けれどそういうものを大事に使いつづけようという精神がフィンランドの人々には宿っているように感じます。

さり気なく素朴で日常に馴染むフィンランドの自然、そしてその自然が織りなす風景。星さんの作品からもその魅力が伝わってくるのと同時に、彼女自身がそんなフィンランドに溶け込んでいるように感じられました。私たちも普段見過ごしているかもしれない美しい色や光に目を向けて、豊かな心を育みたいですね。

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